2015年9月28日月曜日

2003年11月3日・その1

【出発地・岡山・・目的地・堺】

目が覚めた。ここは岡山駅から多少歩いたところにある駅前ユニバーサルホテルである。朝食つきホテルなのでしたくして食べに行こう。

食堂に行く。きのう夕食を食べたところと同じ場所だ。夕食が松江や米子のユニバーサルホテルと似たようなものだったから、朝食も同じだろう。うん、岡山も似たような朝食だ。
おなかにはたまるが材料は安そうな朝食である。うまい朝食が食べられるホテルは何度でも泊まりたくなる。きょうも食べ切った。ごちそうさま。

ここは10:00までにチェックアウトすればいいので余裕はあるが、岡山から大阪の方向に向かう在来線が一時間に一本しかないので、電車の時刻に合わせてチェックアウトし、岡山駅に向かう。

きょうの最終目的地は南海の堺にした。和歌山・高野山ゾーンで行ける場所だし、大阪市内に比べてホテル代が安かったからである。

ただし途中、神戸で行きたい場所がある。それは大丸百貨店である。
どこかで入手したパンフレットによると、元チェッカーズの藤井フミヤがパソコンで描いた絵が美術館で展示されていて、その美術館が大丸にあるという話だからである。
大丸は神戸の1駅東の元町にあるようだ。だから最初の目的地は元町にしよう。

大阪市内行きの「ゆき券」を見せて改札を通る。最初に乗るのは姫路行きだ。
今は青春18きっぷも鉄道の日のきっぷも使えないので、そんなに混雑はしていないかなとは思ったが、なんとなく早めに並んで電車のドアが開いたらすぐに乗る。なんとかすわれた。

発車時刻になってもそれほど混雑することはない。電車は発車し、もはや日常となった太平洋ベルト地帯の「幹線」を東に進んでいく。

いつもの通り、それほどトンネルの多くない、それほど高い山があるわけではない景色を見ながら電車は岡山県から兵庫県に移動し、終点姫路駅に着いた。さあ、乗り換えよう。

姫路から元町には直接行けないのでどこかで乗り換える必要がある。神戸で乗り換えればいいだろう。新快速に乗ろう。姫路ならすわれるだろう。
新快速に乗ってすわると発車だ。もちろん明石海峡大橋が見える右側にすわる。

右手前方に大きな橋が見えてきた。もはや日常である。ただ、今は青春18きっぷを使っているわけではないので多少客が少ないことだけが違う。橋が一瞬にして後ろに去っていくともう電車は神戸市内である。

じきに電車は市街地に入っていき、左手の山の上に住宅が増えてくると乗り換え駅の神戸に着く。電車を降りる。

さあ、新快速から各駅停車に乗り換えるわけだから気をつける必要がある。何のことかというと、新快速より各駅停車は車両数が少ないということだ。だから下手をすると自分の目の前に電車が来ないかもしれないということだ。
去年大阪から新長田に行くため神戸で乗り換えたときがそうだった。あわてて走って各駅停車に乗ったことを思い出す。
7年前に新今宮で大阪環状線から関西本線に乗り換えたときはものすごく前に停まっていたので乗り遅れてしまった。

とりあえずあたりを見回して、地元の人らしい人がたくさんいる場所で待てばいいかと思った。各駅停車に乗りそうな人がいる。ここで待とう。

各駅停車がやってきた。なんとか自分の目の前に電車がやってきたので乗る。よかった。
電車は1駅進み、無事元町に到着した。電車を降りる。
関西ではきっぷの途中下車は有人改札でないとできないはずなので、有人改札にゆき券を見せて途中下車する。さあ、大丸に行こう。

駅を出るとなんだか様子がおかしい。ものすごくたくさんの人がいる!
話を聞いたところによると、9月15日に優勝した阪神がここ元町で、きょう11月3日にパレードをするそうだ。そりゃたいへんだ。

大丸は駅から東らしいので東に向かうと、道にはおおぜいの人が!これじゃ渡れないじゃないか!ぼくは阪神は関係ないんだよ!大丸に行って藤井フミヤ展を見に行きたいんだよ!

おおぜいの客でごった返していた、大丸に行くには横切らなければならない通りだが、それでもしばらく待つと人がとだえた。そこをすかさず渡る。さあ急ごう。

なんとか大丸の入口に着いた。入るとエレベーターがある。美術館にはこれで行けるようだ。
エレベーターに乗って昇って出ると、美術館の入口があった。入場料を払って入る。

お客はそれほど多いわけではなかった。阪神ファンの多さに比べたらたいしたことはない。今ごろパレードをやっているのだろうか。それはともかく絵を見てみよう。

それは幾何学的な、色とりどりのパソコンで描かれた絵だった。
描かれた年を見てみた。なんと1990年代前半だ。ウィンドウズ95がまだない時に描かれたということだ。すでにチェッカーズは解散しているが、藤井フミヤのソロとしてけっこう売れていた時期だったし、そんな時期に絵も描いていたというのが才能を感じさせる。

もちろん使ったパソコンはマッキントッシュだ。マッキントッシュって、こんな時代からいろいろ便利だったんだなあ。
自分の会社時代のあのころを思い起こしてみた。会社ではもちろんマッキントッシュのパソコンなんか使っておらず、MS-DOSだった。

インターネットなんてものがあるなんて知らず、せいぜい多少離れた場所と場所の間で電子メールを送るくらいだった。パソコンでできることは限られており、じきに自分のいた部署ではパソコンを使うことをやめてしまい、もっと高性能のコンピューターを使うようになっていた。

あのころにこんな絵を描いて人がいたんだなあ。信じられないなあ。
そんなことを考えながら、色とりどりの絵を何枚も見ていく。チェッカーズのファンっぽい客は少なそうだ。もっとも当時のファンはだいぶ年を取っているだろう。

ここ数ヶ月、美術館に寄ることが多い。なぜかというと定期観光バスに美術館訪問が含まれていることがあるからだ。
特に盛岡の美術館にあった、「仁丹」とキャンバスに描かれただけのものが展示されているのがなんとも印象的だった。美術品にもいろいろあるようだ。

とっぷりと絵を見て回ったのでもうそろそろ出よう。いい場所だったなあ。
エレベーターで下におりて大丸を出て元町駅に戻る。
あれだけいた客はすっかりいなくなっていた。もう阪神のパレードは終わったようだ。
これで電車がものすごく混雑するということもないだろう。もっともパレードなんかなくても新快速はいつでも混雑しているが。

周遊きっぷのゆき券を見せて改札を通る。目指すは新大阪駅だ。
藤井フミヤ展以外のきょうの目的として、自由席のできた特急はるかに乗るという目的がある。はるかは新大阪には停車するが、大阪には停車しないので新大阪まで行く必要があるということだ。

元町から乗り換えなくても行けるが時間がかかるので、やはり三ノ宮で新快速に乗り換えよう。
大阪方面のホームで各駅停車を待つ。通過していく電車を見送った後で各駅停車がやってきた。乗ろう。
そして1駅、三ノ宮で降りる。今度は神戸駅と違い、降りたところで新快速を待てばいい。

新快速がやってきた。もちろんすわれなさそうだ。
乗って新大阪に向かう。阪神優勝パレード見物客がいなくて良かった。
いつもの通り神戸の山と海を見ながら電車は東に進む。そして淀川を渡り、大阪にやってきた。客がたくさん降りるが乗る客も多い。大阪もけっこうひんぱんに来る場所となり、半月ぶりとなる。そしてまた発車。また淀川を渡り、新大阪に到着。電車を降りる。

以前特急スーパーはくとを新大阪で降りて特急くろしおに乗り換えたときは同じホームでの乗り換えだったが、さすがにきょうは違うホームだろう。階段をのぼり、乗り換えることにした。(いったんここで区切ります)