目が覚めた。ここは下関ステーションホテルである。
このホテルのチェックアウトの時刻は10:00だが、ぼくがこれから乗ろうとしている益田行き特急いそかぜの下関発車時刻は多少早い。だから起きるとロビーに向かい、おもにトーストの無料朝食を食べる。そしてチェックアウトし、下関駅に向かう。
荷物から、これから使う津和野・秋芳・萩ゾーン周遊きっぷのゾーン券を取り出す。
やっぱり特別なきっぷというのはいいものだ。しかも特急券を買わずに特急に乗れるという特典付きだからなおさらだ。
ゾーン券で改札を通ると駅弁売り場を探す。6年前に下関の駅弁、ふくめしを食べたことがあり、また食べたいと思ったのだ。無事売り場が見つかり、ふくめしを買った。11時ごろに食べて昼食にすることにしよう。
そして特急いそかぜの案内を探し、時刻表を見て自由席の位置に並ぶ。時間が来て、遅れることもなく特急いそかぜはやってきた。乗ると空席はあり、日本海が見える左側の窓ぎわにすわった。そして発車。
いそかぜは幡生(はたぶ)を通って左に分岐し、山陰本線に入っていった。車掌にゾーン券を見せる。そしてしばらくするといそかぜから海が見えてきた。山陰本線の出雲市から西の区間ではけっこう海が見える区間が多い。しかしほとんどの特急は益田から内陸経由で新山口に向かってしまい、長門市や東萩を通るのは特急いそかぜだけだ。しかも1日1往復しかない。そんな大事な特急なのだ。
いそかぜはほとんどの駅に停車せず、すいすい進んでいく。長門市より手前でもかなり海が見えた。長門市近辺はあさって来て降りる予定だ。いそかぜは長門市を発車し、さらに進む。そろそろふくめしを食べよう。
ふくめしは6年前に食べたのと同じ、ふぐの駅弁である。どういうふぐがうまいふぐなのかわからないが、売られ続けているのだから売れているのだろう。6年前と同じくきょうもふくめしを食べる。ごちそうさま。
いそかぜは東萩を過ぎる。4月にもここには来たが、小郡(おごおり。新山口の4月当時の駅名)からバスで来た。いろいろ観光した。今回も東萩には来るが、宿泊だけにして、4月に素通りした萩サファリパークに行くことにする。これは12月9日がいいだろう。
いそかぜは遅れることもなく進み、無事終点の益田に到着した。いそかぜを降りる。
予定は決まっていないが、予定通り行程が進めば12月10日にもいそかぜに乗る予定である。
いそかぜを降りた客のほとんどは、すでに停車している特急スーパーまつかぜに乗り換えるようだ。特急おきのうち山口線区間を短縮した特急である。スーパーまつかぜは発車していく。
これから自分が乗る新山口行きの特急おきはそんなに待たずに来るので、改札を通らず、おきの停車するホームに行って待つ。やってきたので乗る。無事自由席にすわれた。そして発車。
おきには6年前にも乗っているし、内陸を通るのでしばらくまどろむことにした。遅れずにおきが走るようなので、予定通り途中の漫画喫茶に寄っていくことにしよう。小倉で調べたところでは、大歳(おおとし)という駅から歩いて30分で漫画喫茶に行けるようだ。終点の新山口まで行かず、手前の湯田温泉で降りて、各駅停車に乗り換えて行くことにしよう。
おきは津和野を通る。6月に降りた駅だ。数時間観光した。リフトに乗って津和野城跡に行ったり、森鷗外記念館に行ったりした。今回は先を急ぐ。
森を抜けて山口駅を過ぎ、目的地の湯田温泉に着いた。ここで降りる。
各駅停車を待っていると駅員がやってきて、「どこまで行くの?」と質問してきた。
しかしうっかり「大歳」という駅名を忘れてしまった。時刻表を取り出して山口線のページを見て、ようやく駅員に大歳と答えた。そのうち各駅停車の新山口行きがやってきたので乗る。ほんの数駅なのですわらずに行こう。
湯田温泉もそれほど大きな駅ではなかったが、そこから数駅進んだ大歳駅は無人駅で、山口市内とは思えない駅だった。本当にこの駅の近くに漫画喫茶があるのかわからないが、見つからなければ散歩だと思って戻ろう、そう考え、駅を出て歩き出す。
たちまち人家もなくなり、植物しか見えない道になる。山口線は谷間を走るので、それほど起伏がないのはいいが、ずっと人家がない、そんな景色が続く。でもようやく国道っぽい道路に出る。そしてドライブインっぽい建物にやってきた。入ってみよう。
そこは大歳駅から歩いて30分なのに、食堂とかもある場所だった。そしてその一角が漫画喫茶だった。過去に別の都市で行った漫画喫茶と同じチェーンなのでそこで作った会員証がちゃんと使えた。3時間パックを申し込もう。
あとは最近始めたネットゲームをやってみる。なんと初めて1位になれた。そこでもうすぐ数少ない大歳に停車する山口線のディーゼル車の発車時刻が近づいたので、漫画喫茶を出ることにした。悪くない場所なので、次に来る時は夜明かししようと思った(夜明かしする機会はわりと早くやってきた。12月30日だった)。
来た道を歩く歩く。だいぶ暗くなってきたが、なんとか発車時刻までに大歳駅にたどり着き、新山口行きの各駅停車に乗る。乗って数分、ディーゼル車は無事終点新山口駅に到着。ディーゼル車を降りて、ゾーン券を見せて改札を通る。
きょう泊まるのは6月にも泊まったアルファワン小郡だ。6月の時点では新山口駅はまだ小郡駅だったが、駅名が変わってもホテル名は変わっていない。まずはチェックインし、部屋に荷物を置いてセブンイレブンで弁当を買う。しかしレジに持っていったら、
「すみません、賞味期限が切れています。同じ弁当はありません。」と言われて仕方なく別の弁当を選んだ。手間がかかって大変だったがなんとか部屋に戻って弁当を食べる。
さあ、また洗濯だ。服に湯をかけてせっけんをなすりつけて足で踏んですすぐ。ハンガーにかけてかわかしておく。これであさってまでにはかわくだろう。
そして風呂に入って眠る。漫画喫茶まで往復1時間歩いているのでけっこうぐっすり眠れた。
(2021年1月25日修正:2003年12月の時点で米子〜益田を走っていたのは特急くにびきではなく特急スーパーまつかぜでした。くにびきをスーパーまつかぜに修正いたしました。)